<今月の禅語>   

 
   梅花和雪香  (梅花雪に和して香ばし)

早春の茶掛けとしてふさわしい語句であるが、単に梅の花が馥郁として匂う中に、

雪が降り来たって、白梅はさらに白く相和して、香気いや増す、と言う現状の風光として

見れば、この句の禅語としての味わいは浅く、つまらないものになる。     
「探梅」と言う俳句の季語がある。梅の花は厳しい

寒気にもめげず、雪や霜にも耐えしのぎ、

百花に先駆けて咲く。

まさに春到来を告げる花である。

だから、探梅とはまだ寒気の残る早春に、梅林にでかけ、

ただ梅の花の鑑賞だけではない。

梅花を通して、春そのものをこの眼でたしかめ、

身体全体で春を観じようという行為でもあるのだ。
桜ほどの艶やかさはないが、

その桜にもまして梅花が昔から

文人、高士に愛されたのは、

長く厳しい寒さに耐え、しかも

その中にあって梅花は清楚さと、

気品あり、凛とした美しさと気高い

香り放つからであろう。 
この梅のように、人とて、やはり世の時流に流されず、艱難辛苦に耐えての精進あってこそ

高潔な人格が得られるものである。そして、自らもそういう境涯でありたいという願いが

またこもる。

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