<今月の禅語>

  雲無心出岫(陶淵明・帰去来の辞の一節)
      雲は無心にして岫(しゅう)を出(い)



岫とは谷あい、山の穴の意。山腹のほら穴からもくもくと雲を

は吐き出し、雲は無心にして沸き出でて流れ行く、

自然の雄大なる風光が伺える。

雲は全く無心です。風吹けば風のままに流れ、悠々として

湧き出て、悠々として去っていく。行くも止まるも作意がない。

あっちがいい、こっちが好きだという好悪嫌着の計らいも

無く何のわだかまりも無い。自由自在な無心無我の境界を

あらわした言葉。

大自然の中に自らがとけこんでしまった無心の境地。


策扶老以流憩  策(つえ)つきて老を扶け
                  以って流憩し

時矯首而游観  時に首を矯(あ)げて游観す

雲無心而出岫  雲無心にして岫を出ず

鳥倦飛而知還
  鳥飛ぶに倦んで還るを知る


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